<論説>朱長文『呉郡図経続記』考

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タイトル別名
  • <Articles>On the Wujun tujing xuji 呉郡図経続記 of Zhu Changwen 朱長文
  • 朱長文『呉郡図経続記』考
  • シュ チョウブン 『 ゴグンズケイ ゾク キ 』 コウ

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抄録

『呉郡図経続記』の著者朱長文は北宋仁宗期から哲宗期を生きた蘇州人である。父の死後、十六年間、郷里の蘇州の旧居に定住、研鑽生活をおくり多数の著述を残した。『呉郡図経続記』はその隠棲期間の末期に蘇州知事の晏知止の依頼をうけて撰述し、その後任の章[ゴ]に提出した作品である。朱家の蔵書と彼自身の収集した古記録を資料とし、大中祥符中に編纂された全国総志、『大中祥符諸州図経』の一部『蘇州図経』の後を継ぎ、その遺欠を補うかたちで著された。史料批判を通じて前史の誤謬を正し、北宋盛時の蘇州の姿を的確簡明に再現している。南宋期に著された范成大『呉郡志』は朱長文が『呉郡図経続記』に整理した類目構成を基礎にして発展的に再編成されたものである。本書は土地案内に属する「地記」から歴史叙述に分類される「地方志」への転換点に位置づけられている。また彼が別冊として編集した「呉門総集」は後代の地方志資料集の先駆となった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 99 (5), 625-650, 2016-09-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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