<論説>十七世紀後半の日朝関係と対馬藩 : 権現堂送使の新設交渉を中心に

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  • LEE Haejin
    京都大学大学院文学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Japan-Joseon Relations in the Latter Half of the 17th Century and the Tsushima Domain, Focusing on the Negotiations for the Establishment of the Gongendō Annual Ship
  • 十七世紀後半の日朝関係と対馬藩 : 権現堂送使の新設交渉を中心に
  • ジュウナナセイキ コウハン ノ ヒアサ カンケイ ト ツシマハン : ゴンゲンドウソウシ ノ シンセツ コウショウ オ チュウシン ニ

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抄録

幕藩制国家の中で朝鮮との関係を司っていた対馬藩は、貿易に藩財政を依存していた。そして対馬藩は、外交・貿易船である送使の増設を朝鮮側に求めていた。その一環として要請された「権現堂送使」は、朝鮮との国交回復を藩に任せ、両国に平和をもたらした存在とされる東照大権現への供養を名目としたものである。本稿は、この権現堂送使に着目し、その新設交渉の過程から日朝関係における対馬藩と朝鮮側双方の立場を照射する試みである。東照大権現への供養という送使の名分には、幕府の承認を要するが、藩が独自に活用して財政の拡充を目指したことがまず注目される。対馬藩は一旦、朝鮮側と合意に至ったものの、幕府の承諾を得ることはできなくなり、結局権現堂送使の新設を諦めざるを得なかった。しかし、その後も対馬藩は、朝鮮との交渉において権現堂送使を建前とし、藩の利益に関わるその他の外交案件を達成する手段として活用していった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (4), 491-527, 2017-07-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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