<論説>国風文化期における中国文化受容 : 異国描写を手掛かりとして

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  • 小塩 慶
    京都大学大学院文学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>On the Reception of Chinese Culture during the Period of the Flowering of National Culture, Using the Descriptions of Foreign Countries in Japanese Literature as a Key
  • On the Reception of Chinese Culture during the Period of the Flowering of National Culture, Using the Descriptions of Foreign Countries in Japanese Literature as a Key
  • 国風文化期における中国文化受容 : 異国描写を手掛かりとして
  • コクフウ ブンカキ ニ オケル チュウゴク ブンカ ジュヨウ : イコク ビョウシャ オ テガカリ ト シテ

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抄録

本稿では、国風文化期における中国文化の受容の在り方を再検討する。従来の日本史研究ではほとんど扱われることのなかった『浜松中納言物語』『松浦宮物語』に見られる異国描写を手掛かりとして、平安時代の人々が何によって異国像を形成していたか、またその背景にはどのような社会状況を想定できるかを考察した。『浜松中納言物語』からは、類書的な漢籍知識や絵画による文化受容があり、その背景には、「宮仕え」を軸とした身分・性別を超えた文化の総体の存在を指摘できる。『松浦宮物語』には漢籍による文化受容が見られるが、令式に規定された古典的な漢籍がなお重要な位置を占めていた。中国から輸入された書籍の実態を再検討すると、それらが国風文化に与えた影響は限定的であったといえる。当該期に中国文化が広く受容されたのは、唐物の輸入といった対外交流以上に、唐絵や漢籍知識の類書化、漢籍の学習方法などの国内の文化動向によるものである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (6), 641-677, 2017-11-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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