<論説>文明の誕生 : 古代アンデスの事例から (特集 : 文明)

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タイトル別名
  • <Articles>Origins of Civilizations: A Case Study of the Ancient Andes (Special Issue : Civilization)
  • 文明の誕生 : 古代アンデスの事例から
  • ブンメイ ノ タンジョウ : コダイ アンデス ノ ジレイ カラ

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抄録

古代アンデス文明の始まりは紀元前三〇〇〇年に遡り、その指標は神殿建設とされる。形成期(前三〇〇〇-五〇年)に多くの神殿が建設されたが、各神殿は石や日干しレンガなどの建築材で同じ場所で建て直されることで結果的に大規模化した。また神殿の建設、更新活動の継続に伴い社会が大規模化、複雑化した。神殿の建設は、儀礼に関わる集団の実践の結果であり、当事者が意識、予想しない結果をもたらしたと言える。形成期の神殿を中心とした社会は国家や首長制社会など政体の既存の分類モデルでは十分に説明できないため、リチュアリティーという考えを導入する。また宗教的儀礼と神殿などの物質の関係を整理するためリチュアル・エコノミーという概念を援用し、政治と経済の要素が儀礼に埋め込まれている関係性を記述する。最後に初期の神殿の更新活動のメカニズムを、競合や個人のリーダーシップではなく、協同、集合行為という概念を用いて説明する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 102 (1), 7-39, 2019-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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