<論説>マフディーかく語りき --サイイド・ムハンマド・ムシャアシャアのマフディー自称論理--

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タイトル別名
  • <Articles>Thus Spoke a Mahdī: Sayyid Muhammad al-Musha'sha''s Logic for Self-proclamation as a Mahdī
  • マフディーかく語りき : サイイド・ムハンマド・ムシャアシャアのマフディー自称論理
  • マフディーカク カタリキ : サイイド ・ ムハンマド ・ ムシャアシャア ノ マフディー ジショウ ロンリ

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抄録

モンゴル勢力がアッバース朝カリフを殺害したことで、イスラーム世界では旧来の宗教的権威が不在となった。これに対し、一四~十五世紀のイランのシーア派は、マフディーを僭称する者を断続的に生み出し、既存の政治体制を揺るがした。本稿では、そのようなマフディー自称者のひとりであるサイイド・ムハンマド・ムシャアシャアの教説書『マフディーの言葉』を取り上げて、著者のマフディー自称を補強するために展開された種々の論理を検討する。彼は自身の論の基盤となる「霊肉二元論」から「歴代イマームらの不死」や「アリーの神格化」といった様々な異端的なテーゼを派生させ、これらを組み合わせることで隠れイマームを終末の日に現れるメシアと認めつつも、その実際的な顕現を否定し、自らをその代理として位置付けることに成功した。彼の思想は、非現実的なメシア主義を現実化させて、己の統治権を追認するといった性格と評すことができる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 102 (3), 399-438, 2019-05-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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