<論説>画文帯神獣鏡と古墳文化

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タイトル別名
  • <Articles>One Aspect of Ancient Japan seen from the Imported Mirrors

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抄録

古墳副葬鏡として三角縁神獣鏡につぐ多量の出土例をもつ画文帯神獣鏡は、その製作は東漢末から三国、西晋代に中心があり、三角縁神獣鏡とほぼ同じ時代に属するが、わが国では、後者が初期の古墳の副葬品を代表するのに対し、前者は一部これと重なり合いながらも、一時代おくれる古墳から出土することが多い。しかも副葬鏡の組合せからみると、九州では両者は伴出せず、地域も異にしているのに対し、それ以外の地では、一部の三角縁神獣鏡が画文帯神獣鏡と組合うことも多い。その理由として、当時の対華貿易の情勢が考えられる。華北系とみられる三角縁神獣鏡は三世紀の対華北貿易のおこなわれていた間に渡来してきたとおもわれる。一方画文帯神獣鏡は華南系であつて、対江南貿易の主としておこなわれた四、五世紀の間に多くはいつて来た。しかも、九州では、北部が華北貿易に関係が深かつたのに対し、江南貿易は南九州の豪族も積極的に参与した。そこに両鏡が分布と時代を異にするる結果が生じた。ところが九州以外の地では、前代に三角縁神獣鏡を手に入れた豪族の子孫が、次の江南貿易で画文帯神獣鏡をも入手したので、一部に両鏡が伴出することもあつたわけである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 43 (5), 673-689, 1960-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290699825416832
  • NII論文ID
    120006818280
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_43_673
  • HANDLE
    2433/249515
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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