<論説>チャーチスト運動の歴史像 : 特にランカシャーを中心として

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Historical Image of the Chartist Movement : especially in Lancashire
  • チャーチスト運動の歴史像--特にランカシャーを中心として
  • チャーチスト ウンドウ ノ レキシゾウ トクニ ランカシャー オ チュウシン ト シテ

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説明

「チヤーチスト運動とは何か」という問に対し、従来の教科書的な規定に従つて、これを単に「人民憲章を要求した労働者階級の運動」と解したのでは、もとより十分ではない。この運動が単なる労働者階級の政治運動ではなく、本質的に社会経済的な運動であつたことは、イギリスの十九世紀前半という時期が産業革命の激動期であつたということを想起するだけで、もはや明白であろう。 この通俗的・教科書的見解から一歩進んだ、そして恐らく現在広く一般に受容られている見解は、レーニンのそれである。すなわち、チヤーチスト運動は「最初の広範な、本当に大衆的な、政治的に形態を整えたプロレタリア的革命運動」という規定である。しかし一たびチヤーチスト運動の具体的なプロセスの中に踏込んでみれば、レーニンのこのカテゴーリッシュな規定も、正しいチヤーチズム像を把えていないことが判るのである。このように見てくる時、我々は、「チヤーチスト運動の歴史像」は現在なお定着されていない、と結論せざるをえないのである。本論文は、かかる見地から、特に産業革命の中心的地域であつたランカシヤーに焦点をしぼつて、具体的な「チヤーチスト運動の歴史像」を描かんとする一つの試みである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 44 (6), 868-893, 1961-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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