<論説>「露・独再保障条約」不更新問題の再検討
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- 岡部 健彦
- 大阪大学助教授
書誌事項
- タイトル別名
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- <Articles>Eine Wiedernachprüfung über die Nichterneuerung des Rückversicherungsvertrages von 1890
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説明
再保障条約の不更新が、ビスマルク体制を崩壊させる原因となったことについては、主として後の露仏二国同盟の成立という結果から説明されている。しかし、ロシアがフランスとの結合を求めるに至ったのは、この再保障条約が消滅した直後であったのではない。本稿は、ビスマルク体制崩壊の理由づけを、この体制自体の構成に検討を加えることにより、その中に位置を占めていた再保障条約の消滅が、この体制全体に対してどのような意味をもつべきものかという点に焦点をしぼる側面から試みたものである。再保障条約は、東方に対する列強の利害政策から生じたベルリン会議の商議外交と、ビスマルクの構想するヨーロッパにおける列強均衡政策という二つの原理を接合する機能をもち、それを基礎として、ビスマルクのヨーロッパに対する主導権が可能となったものと考える。したがって不更新を決定した「新航路」の政策は、ビスマルク体制の本旨を誤認してこの体制を崩壊させ、ドイツの潜在的覇権の地位の自ら放棄したものであると論じてみた。
収録刊行物
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- 史林
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史林 50 (2), 249-282, 1967-03-01
史学研究会 (京都大学文学部内)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699825499392
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- NII論文ID
- 120006818645
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- NII書誌ID
- AN00119179
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- HANDLE
- 2433/249926
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- ISSN
- 03869369
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可