<論説>九世紀における大土地所有の属開 : 特に山林原野をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Development of the Great Landholdings in the 9th Century : especially about forest and field

この論文をさがす

説明

延暦年間、大土地所の進展でゆらぐ律令体制のたてなおしが試みられるが、その際支配者側は、民要地という形で耕地部分を国家の手に把握し、それ以外の山林・原野を農民の形成する共同体の規制力を利用して、大土地所有の一層の進展をくい止めようとする。延暦十七年十二月の太政官府は支配者側のそのような意図をよくあらわしているが、事実八・九世紀において農業共同体的規制は農民の聞に生きており、大土地所有はその規制のもとでしか存在しえない。それが九世紀末になると上層農民の勢力増大の動きの中で共同体の崩壊が決定的になり、その結果として民要地に代表される支配体制もゆきづまる。寛平八年四月の一連の太政官符は古い体制が無力化し、十世紀以後本格的に展開する四至設定による大土地所有の基礎がすでにおかれていることを示している。

収録刊行物

  • 史林

    史林 50 (4), 479-513, 1967-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290699825500928
  • NII論文ID
    120006818657
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_50_479
  • HANDLE
    2433/249940
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ