文学作品における読みの探求 : 「形」(菊池寛)の場合

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  • Exploring Reading with Literature : A Case Study of Reading Katachi by Kikuchi Kan

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抄録

「形」(菊池寛)は、中学校の教材として魅力的なものである。百年近く経っている小説であるにも関わらず、中学生には読む上で敷居が高くない。より深い読みのための方策として、明らかになった点を次にあげる。 原典である「常山紀談」との比較や、作者が伝えたかったことは何かという大きなテーマをペアやグループで話し合い、全体に発表する授業展開を取り入れた結果、グループ内で活発な議論がなされた上、質問カードの実施・交換により、さらに深い読みに通じていくものとなった。資料の作成においても、できるだけ簡単な一文でまとめさせ、わかりやすく、根拠のある説明がなされているかに気をつけさせた。その結果、曖昧なまとめ方をして資料を作成しているグループは、矛盾した点が指摘され、事前の資料作成に必要なことが認識された。 また、話し合いのテーマが「作者が伝えたかったこと」であったため、形の諸相がいろいろと出て、各グループの意見がすべて活かせたことが利点となった。教材の特質もあろうが、あまりテーマが一つに固定されてしまっては意見の相違がない。少しずつ違う意見が出る上、それをまとめていけば抽象化できる。

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