談話分析におけるWiddowsonの発話行為理論の利用

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  • Widdowson's Use of Speech Act Theory in his Approach to Analyzing Discourse

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抄録

本論文では, とりわけ結束性(cohesion), 意味的連結性(coherence)の概念に関連して談話分析におけるWiddowsonの発話行為理論の捉え方を考察する。Widdowsonは, John AustinとJohn Searleの著作に依拠しながら, AustinのアプローチとSearleが主張した命題的行為・発話内行為(propositional/illocutionary acts)という二組の対概念を結びつける分析を試みている。しかし, この分析では, (1)widdowsonが直接的に命題そのものを明らかにし得ていないこと, (2)前述の二組の対概念に基づく分析では, 結束性と意味的連結性とを区別することが困難になること, といった二つの問題が生じてくる。こうした問題があるために, 学習者のライティングを分析したり, テキストを吟味する上で結束性・意味的連結性という概念を教師が用いることが難しくなる。そこで, 筆者は, 命題という概念を談話分析の対象外とし, 文レベルに焦点化した分析を提案する。文を単位とするこのアプローチは, Austinの発話(locution)と一致する捉え方でもある。このようなアプローチによって, 結束性という概念が発話内や発話間の明確な橋渡しとして容易に定義することが可能となる。

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