ドジョウ腎組織の異常について

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  • On an Abnormality of Loach Kidney
  • ドジョウ ジン ソシキ ノ イジョウ ニ ツイテ

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抄録

「魚類の四倍体の作成」の目的で,ドジョウMisgurnus anguillicaudatusの受精卵を2分割直前の時期に熱処理し,その生き残った卵を飼育して206日ないし218日後に固定し,アルコール保存した。その標本を調べるうち,腎に特異的に異常が見られた。ただし対照区にも異常が見られたので,卵に対する熱処理が,腎の異常の原因であるとは必ずしも云えない。 異常は腎の尿細管uriniferous tublesにヘマトキシリン色素で青く染色される粘稠な物質が詰まっている状態で見られ,集合管には一例を除き見られなかった。詰まっている物質が少量のときは濃く青染し,中等量の場合はより淡く,大量の場合は更に淡く染色されていた。後者になるほど,腎の横断面積は大きくなり,腎実質組織は破壊されていた。又3個体では,破壊はそれほど著しくなかったが,腎小体の血管糸glomeruliに濃染した数個の小点が見られた。又数個体では腎組織の細胞が島状に分けられ,その間を血流が洗うと云う,あたかも肝組織のように見える異常も見られた。 しかし飼育中,水腫edema等で死ぬ個体は見られなかった。それは調べた組織が腎組織の中央部だけであり,従っておそらく他に正常な部分があって,腎機能としては充分果たされていたものと考えられる。

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