医学部2年生を対象とした「医学英語」コースの試み : 反転授業を活用したターム授業

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  • An Experimental Term-based Flipped Learning Course on Medical English for Second-year Students

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抄録

本稿は,オンラインを使っての事前学習と対面授業を組み合わせた,医学部2年生を対象とした「反転授業」の報告とその試みの評価を目指したものである。授業で用いた学習教材(内容)は元々医学部3年生用に開発したものであったので,この取り組みはかなり実験的要素の多いものであった。また,従来このコースは3年生を対象とした三日間の集中講座であったが,この試みでは7週間にわたる対面授業を組み合わせて行った。本コースの成果について,学生の「試験成績」及び「アンケート結果」の量的及び質的分析を報告する。 在籍する医学部2年生の約1/3にあたる35名がこの試行コースを修了した。実施時期は2018年10月~ 11月であった。35名のうち,31名が期末試験に一回で合格した。試験の中心は,医学語彙に関する50問の多肢選択式問題であり,平均正解率は75.8%で標準偏差は16.1であった。ちなみに,医学部3年生を対象とした2018年9月の平均正解率は80.1%で標準偏差は14.7であった。これらの2グループを比較したt 検定では5%水準で統計的有意差はなく,本コースは2年生でも十分に履修できる内容のものであることが示唆された。 医学部2年生によるアンケート結果からは,受講生のモチベーションはかなり高く,本コースが有益であり,指導や教材が分かり易いという受け止めをしていることが窺えた。他方,自由記述には,学習内容が少し難し過ぎたというコメントがあった(数名)。また,いくつかの細かな教材の改善点が見つかった。 全体としては,この試みは成功でったと評価してよいであろう。そして,このことは2年生段階で医学英語を学びたいと強く思っている学生が一定数いること,そして英語で十分に学習内容を理解できることを示唆していると言えよう。本試行の成功の主要因は時期が良かったことであろう。つまり,本コース受講までに(2年生後期までに),学生は解剖学や生理学の十分な知識を得ており,それが英学英語を学ぶにあたって有益な背景知識として作用したと考えられる。さらには,3年生を対象とした三日間の集中講座とは異なり,時間的圧迫感が少なく,医学用語に関する語根や接辞などをしっかりと理解できる余裕があったことも良かった。医学部2年生を対象として,(必ずしも全員でなくとも)希望者に対して「医学英語」コースを提供することは,有益であると考える。

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