集団レベルでの知覚されたサポートに関する一研究

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タイトル別名
  • A Research on Perceived Social Support at Group Level
  • シュウダン レベル デノ チカク サレタ サポート ニカンスル イチ ケンキュウ

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抄録

日常でも介入時にもサポート源として集団が重要であるにも関わらず、ソーシャル・サポート研究においては、これまで個人間の関係の知覚に焦点があてられてきた。しかし集団の中では人々は集団全体との関係の知覚も持っている。人々は集団との関係についての包括的な信念を形成し、そのような信念がその主観的幸福に影響をおよぼしているだろう。しかしこのことはソーシャル・サポート研究において十分に検討されてこなかった。他方、組織心理学研究においては、心理的風土の一種で、先述の包括的な信念にあたると考えられる「知覚された組織サポート」という概念が提出されているが、Cobb(1976)の古典的定義以来ソーシャル・サポート研究で重要な社会情緒的側面が軽視されている。本研究はソーシャル・サポート研究において、こうした心理的風土の社会情緒的な側面、すなわち、知覚された集団サポート(PGS)を提案し、PGSと他の変数との関連を調べようとするものである。五二五人の東京の江戸川区民の調査のデータが用いられた。回答者が家族以外でふだんよく接する一つの集団についての回答を分析した。重回帰分析の結果、高いPGSは集団成員のより高い主観的幸福(自尊心)へとつながっていることが明らかとなった。PGSの規定因が探索的に調べられ、集団の種類によって違いがみられた。ネットワーク型の集団でのみ集団内ネットワークの特徴である集団内ネットワーク・サイズが、カテゴリー型の集団でのみ集団全体の特徴である集団凝集性がPGSと関連していた。このことから、PGSの議論はソーシャル・サポート研究において有用であること、特にカテゴリー型の集団に有効であることが示された。

収録刊行物

  • 一橋社会科学

    一橋社会科学 7 275-290, 2009-08

    一橋大学大学院社会学研究科

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