農業所得税申告書の利用可能性に関する一考察―「クロヨン」に関するマクロレベルの検討―
書誌事項
- タイトル別名
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- An Inquiry into the Application of Tax Return to the Farm Income Safety-net Program
- ノウギョウ ショトクゼイ シンコクショ ノ リヨウ カノウセイ ニ カンスル イチ コウサツ クロヨン ニ カンスル マクロレベル ノ ケントウ
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説明
農業経営所得安定対策として収入保険制度などを実施する場合,納税申告に関わる決算書等の資料を農業収入や所得を把握する手段として利用することが考えられる。しかし,業種別の課税所得捕捉率の格差は俗にクロヨンなどとも言われ,農業課税所得の捕捉状況は全体として不十分との指摘がある。そこで,この点についてまずはマクロレベルでの実態の確認が必要となる。本稿では,課税所得の捕捉状況に関する業種間格差の実証分析を扱った既往の主要な論考を取り上げ,方法やデータの扱い等にまでさかのぼって再検討を加えた。その結果,いずれも前提とする農業所得総額や所得分布などに正確さを欠く部分がみられ,それらを修正すれば2~4割とされた農業所得捕捉率は5~8割程度とみることが妥当であること,この値は改善傾向にあることを示した。また,筆者の推計からも同様の結果を得た。従前の推計が過小であった理由としては,農家の所得稼得構造に関する認識の不十分さなどが考えられる。また2割程度の脱漏のうち脱税と考えられるものはごく一部にすぎないとみられる。以上から,農業所得青色申告決算書に代表される申告納税資料の利用に関して,総体としてみた場合,農業所得の捕捉という点て問題はないと結論づけた。ただし,個別経営段階での実際の利用に関しては課題も多いと思われる。
収録刊行物
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- 農林水産政策研究
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農林水産政策研究 (7), 25-49, 2004-12-16
農林水産省 農林水産政策研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699845752448
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- NII論文ID
- 120006812885
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- NII書誌ID
- AA11614280
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- NDL書誌ID
- 7196897
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- ISSN
- 1346700X
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
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