放棄モウソウチク林における枯死木質有機物の炭素・窒素蓄積量

  • 下野 皓平
    九州大学大学院生物環境資源科学府環境農学専攻森林環境科学教育コース
  • 片山 歩美
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座
  • 阿部 隼人
    九州大学大学院生物環境資源科学府環境農学専攻森林環境科学教育コース
  • 榎木 勉
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Carbon and nitrogen storage of dead woody debris in an abandoned Moso bamboo forest
  • ホウキ モウソウチクリン ニ オケル コシ モクシツ ユウキブツ ノ タンソ ・ チッソ チクセキリョウ

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説明

放棄竹林の炭素および窒素蓄積量は,近隣の広葉樹林やスギ林に匹敵するほど大きいことが報告されているが,これまで枯死稈等の枯死木質有機物の蓄積は考慮されてこなかった。本研究は,タケ由来の枯死木質有機物(立ち枯れ稈,倒伏稈),土壌有機物(A0 層,鉱質土壌)および地下部を含むタケバイオマスの炭素・窒素蓄積量を定量することで,枯死木質有機物の炭素・窒素蓄積機能への寄与を明らかにすることを目的として行われた。調査は九州大学福岡演習林の放棄モウソウチク林で行われた。枯死稈は斜面上部から下部に移動する可能性を考慮して,調査プロットは斜面上部,中部,下部に設置した。立ち枯れ稈,倒伏稈,A0 層,鉱質土壌の炭素蓄積量はそれぞれ,11.2,13.8,2.7,17.1 Mg C ha-1 であった。立ち枯れ稈と倒伏稈を合わせた枯死木質有機物の炭素量は,モウソウチク地上部バイオマスに蓄積される炭素量の30.9%であった。立ち枯れ稈密度は生きた稈密度の18% であった。立ち枯れ稈,倒伏稈,A0 層,鉱質土壌の窒素蓄積量はそれぞれ,49.1,136.4,85.8,1468.2 kg N ha-1 であり,枯死木質有機物に蓄積される窒素は,地上部バイオマスに蓄積される窒素の56% であった。以上の結果から,立ち枯れ稈および倒伏稈に蓄積される炭素・窒素量は非常に多く,炭素・窒素循環を考えるうえでは無視できない量であることが明らかとなった。

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