前提の取り消しについて -否定,スコープ,視点との関連における分析-

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タイトル別名
  • On the Cancellation of Presuppositions:Interactions with Negation, Scope, and Perspectives

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説明

前提は,意味論的には命題が真か偽となるための予備条件として,また語用論的には発話が適切となるために話者と聴者が共有すべき情報として捉えられる。しかし実際の談話中では,前提はさまざまな形で取り消される。予備条件としての前提が,なぜ,またどのように取り消されるのか。本論文では,前提の取り消しとその不規則性を,否定,スコープ,視点との関連において分析し,以下を指摘する。1)「前提は否定文においても保持される」は「命題が真のときの前提は,偽のときにも保持される」と修正される,2)否定のスコープの解釈が切り替わった結果,狭いスコープの否定における前提が取り消される,3)叙実述語が前提を投射しないのは,埋め込み文が仮定や時制などよりも狭いスコープを持つ場合である,4)前提には話者以外の視点も関与する。スコープの曖昧性,可能世界,視点の関与を見ることで,一見不規則な前提のふるまいを系統的に説明できる。

収録刊行物

  • 教育研究

    教育研究 (56), 109-117, 2014-03-31

    国際基督教大学

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