文脈から見た「が」と「は」

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タイトル別名
  • The Selection of "Ga" and "Wa" in Japanese Texts
  • ブンミャク カラ ミタ ガ ト ワ

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抄録

本稿では日本語の動詞述語文で動作主をマークする「が」と「は」の使い分けには、当該文の叙述内容と先行文脈との関係が関与すると言うことを述べる。たとえば次の2組の連文を比べた場合、(1)bでは「は」が、(2)bでは「が」が使用されている。 (1)a 柄の悪い男が電車に乗ってきた。 b 子ども連れの母親はさりげなく車両を移った。 (2)a 柄の悪い男が電車に乗ってきた。 b 子ども連れの母親が居眠りをしている (1)(2)から、先行文脈と関連のある叙述内容の場合は「は」で動作主をマークし、関連の薄い叙述内容 の場合は動作主を「が」でマークすると考えられる。 従来の研究では、動作主が新情報か旧情報かということに焦点が当てられてきたが、動作主以外の要素に関しても、「は」使用文には先行文との関連を表す要素が、「が」使用文には関連を表さない要素が、現れる傾向がある。文の3成分(補足語、連用修飾要素、述語)について観察した結果 、次のような傾向が見られた。 「は」使用文には、ソ系列の指示詞(文脈指示)、代名詞、先行文を対象・基準にとる連用修飾要素、先行文を対象・相手とする述語が現れやすく、「が」使用文には先行文との関係を表さない要素が現れやすい。

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