絶対敬語と相対敬語 : 日韓敬語法の比較

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  • A Japanese-Korean Contrastive Study

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説明

一般に、日本語は相対敬語を有し、韓国語は絶対敬語を有するといわれる。このような説明は、一般 論としては正しかろう。しかし、日常の言葉の中には一般論では片付けられない用法、いわば「規範からの逸脱」が珍しくない。それは、伝統的な用法としても新しい用法としても現われる。 韓国語の相対敬語現象がみられるのは、主に身内敬語においてである。身内敬語におけるそのような現象は伝統的な用法である。一方、韓国語が絶対敬語法を有するという説明の根拠になっている用法の中にも揺れの現象がみられる。すなわち、ウチ(身内)のものが話題の人物で聞き手がヨソ(外部)の人である場合、従来ならば絶対敬語が現われるはずのところに時として相対敬語が現われるのである。これは、新しい傾向の「逸脱」である。 日本語における絶対敬語現象の代表格は皇室敬語である。それは絶対敬語本来の姿をそのまま受け継いでいる。しかし、日常の言語の中でも、今までは規範であった相対敬語用法がかなりの揺れをみせている。 日本語にも韓国語にも伝統的な敬語用法に縛られることなく、状況に応じてそれらを使い分けようとする傾向が窺える。つまり、敬語を上下関係に基づく用法として捉えるよりは、それを親疎関係あるいは環境に基づく用法として捉えようとする傾向が観察されるのである。ただ、日韓両言語を比べてみると、韓国語では上下関係を反映した用法がまだ根強く残っており、日本語では親疎関係を反映した用法が優先的であるように思われる。

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