草川信の音楽作品の成り立ち -生涯と音楽的背景および作曲法の特徴-
書誌事項
- タイトル別名
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- クサカワ シン ノ オンガク サクヒン ノ ナリタチ ショウガイ ト オンガクテキ ハイケイ オヨビ サッキョクホウ ノ トクチョウ
- The Music Works of Shin KUSAKAWA - His Life, Academic Background, and Music Style -
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説明
大正期の童謡運動は、鈴木三重吉が子どものための質の良い読み物を考慮し、「子供の純性を保全開発するために、現代第一流の藝術家の真摯なる努力を集め、兼て、若き子供のための創作家の出現を迎ふる、」(鈴木 1917)ことを目指して大正7年に創刊した「赤い鳥」に代表され、続いて「金の鈴」「童謡」などの雑誌も刊行された。これらの雑誌を中心とした童謡作品については、主に物語や詩などの言葉の面から多くの研究が行なわれている(藤田 1971,童謡詩人會 1997)。音楽面からは童謡運動に参加した作曲家について、小島(2004)が「赤い鳥」と「金の鈴」を中心にとりあげ、成田為三、草川信、弘田龍太郎、本居長世、中山晋平、藤井清水、山田耕筰、河村光陽の童謡作品について、特に旋律の音階構造を詳しく分類、分析している。これらの作曲家は、日本近代の洋楽作曲家として、大正期から昭和期にかけて活躍した人々である。 それらの作曲家のうち草川信については、現在でも「ゆりかごの歌」「春の歌」「どこかで春が」「風」「夕焼け小焼け」「汽車ポッポ」「みどりのそよ風」などの童謡作品がよく聴かれ、演奏されている。草川は童謡の作曲家と捉えられることが多いが、実際には童謡以外にも、歌曲、合唱曲、器楽曲などを残している。しかしこれらについては、現在ほとんど知られていない。 そこで本稿では、まずいくつかの資料とご子息(次男)草川誠氏へのインタビューから草川信の生涯と仕事を概観する。次に、和声学を中心とした当時の日本の作曲理論の状況を調査し、彼の音楽技法上の背景を知る。そしてそれらに基づいて、草川信の作品のいくつかを分析して、この作曲家の、和声構造を中心とした音楽上の特徴を明らかにする。これによって、これが草川信の作曲法の特徴をつかむとともに、大正から昭和期へかけての日本の洋楽の作曲様式の状況を知る、ひとつの手掛りにもなると考えられる。
収録刊行物
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- 富山大学人間発達科学部紀要
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富山大学人間発達科学部紀要 1 (1), 247-260, 2006-12
富山大学人間発達科学部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699868715520
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- NII論文ID
- 110005421899
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- NII書誌ID
- AA12181167
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- ISSN
- 1881316X
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- HANDLE
- 10110/1145
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- NDL書誌ID
- 8694936
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可