書誌事項
- タイトル別名
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- Shyam Benegal's Ankur and the Nehruvian woman
- シャームベネガルの芽ばえとネルー主義の女性
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説明
シャーム・ベネガル監督のデビュー作品である『Ankur(1973年)』は、インドの芸術映画の功績である。この物語は、インド初代首相であるネルーのリベラルな人道主義的イデオロギーを、ベネガルが終生信奉していることを明らかにしている。非宗教的で、平等かつ近代的な、新しい独立国家インドを創出するという、ネルーの壮大なプロジェクトは、不可触民や女性の権利を保護することを目的にした社会改革や、近代的なインフラを整備するための技術的な戦略、若い世代をはぐくむ教育的で文化的な活力を含んでいた。しかしながら、ネルー時代の業績は一様でなく、ネルー自身の残したものについては論争がある。『芽ばえ』のイデオロギー的背景にあるのが、後に失敗に終わる「ネルー主義のプロジェクト」のこの初期の期待である。ベネガルは、インドの社会を変える最大の希望は、女性の手の中にあるとするネルーの基本的な信念に共感している。そのため、『芽ばえ』の主人公は、非抑圧的階級である不可触民であるラクシュミであり、物語は、封建的で家父長的な抑圧にもかかわらず、彼女が自分の能力を高めていくというドラマになっている。本稿は、『芽ばえ』が、ベネガルがネルー時代の失敗を認めると同時に、インド社会の再生のためには、それでもなおネルー主義のイデオロギーが最善の方法である(少なくとも映画が公開された1973年時点では)と信じていることを表現していると主張する。したがって、本稿で呼ぶ「ネルー主義の女性」である、ラクシュミが象徴する人物は、ネルーが1947年に構想した、非宗教的でより公正で進歩的なインドのための、ベネガルが抱く指導者像である。
収録刊行物
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- 言語文化
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言語文化 13 (2), 89-115, 2010-12-31
同志社大学言語文化学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390290699890245632
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- NII論文ID
- 110007982135
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- NII書誌ID
- AA1127628X
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- ISSN
- 13441418
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- 本文言語コード
- en
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
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- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可