国立大学法人化の考察

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  • Some considerations about reorganizations of the national universities as corporations
  • コクリツ ダイガク ホウジンカ ノ コウサツ

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抄録

本稿では、国立大学が法人化されたにも関わらず、民間的発想による国立大学経営が進んでいない事に着目し、国立大学法人化が抱えた課題を考察することが目的である。そこで、政策ネットワーク論を用いて分析を行う。この分析枠組みによって、国立大学法人化におけるアクターの相互依存関係に注目し、アクター同士の関係を明らかにすることができる。分析の結果、安定した政策ネットワークが形成され管理されていた。ところが、行政改革という異色の価値観を持つ新しいアクターの参入により法人化が決定する。一方で制度運用は既存のアクターによって行われることとなった。その際の政策ネットワークの管理について、法人化決定までは新しいアクターが担っていたものの、法人化以降は既存のアクターによって行われてゆく。これらのことから、第一にネットワーク管理の限界が露呈したといえる。政策ネットワークの管理は政策の達成可能性を高めるにすぎない。第二に期待された成果がでるように政策を実施していくためには、政策ネットワークの一部を変えるだけでは不十分であると指摘できる。新しいアクターの参入により資源の相互依存関係は変更されたが、それは部分的なものにすぎず、既存の状態に戻る余地を多分に含むものであった。したがってネットワーク管理にも限界があるからこそ、適切な政策ネットワーク構築の重要性が改めて確認された。

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