農業の多面的機能、生物多様性と生態系サービス : 非農産物の市場取引に向けての予備的考察

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  • Mutifunctionality of agriculture, biodiversity and ecosystem services : preliminary study toward market trading of non-commodity products from agriculture
  • ノウギョウ ノ タメンテキ キノウ セイブツ タヨウセイ ト セイタイケイ サービス : ヒノウサンブツ ノ シジョウ トリヒキ ニ ムケテ ノ ヨビテキ コウサツ
  • 農業の多面的機能生物多様性と生態系サービス : 非農産物の市場取引に向けての予備的考察

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抄録

昨今、「SATOYAMAイニシアティブ」に対する社会的関心が高まっている。持続可能な農業を考えるとき、SATOYAMAは一つのベンチマークとなる。本論文では、まず、「多面的機能」と、「生物多様性」、「生態系サービス」の用語の解釈について統合を試みた。「多面的機能」の発現は、「生態系サービス」に拠るものであると体系化した。次に、外部経済としての非農産物を市場取引するために、所有権(財産権)アプローチの古典的理論展開を確認した。同時に、生態系サービスを取引可能な所有権(財産権)とすることによってもたらされる効果をシナリオ展開した。最後に、外部経済としての生態系サービスをどのような方法で内部化するかを、事例を取り上げながら概観した。企業は、生物多様性に対して積極的に取り組んでいることを確認する一方で、生物多様性のバンキングについて、アメリカ、ミネソタ州の取り組みについて事例研究を行った。ミネソタでの取り組みは、農家が、生態系サービスを生産する生息地をバンキングすることで、生物多様性の生産に対して対価を受け取る、という意味合いにおいて、新たな市場が創設されているモデルケースであるといえる。しかし、この制度は開発時にこのミティゲーション・バンキングを実施するだけであり、継続的な制度であるとはいえない。継続的に生態系サービスが生産されるような経済的インセンティブとなる制度設計が重要である。

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