紀海音の世話物における色と義理

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  • キノカイオン ノ セワモノ ニオケル イロ ト ギリ

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抄録

はじめに : 海音はその世話物『今宮心中丸腰連理松』中之巻で、主人公次郎兵衛に次のように語らせている。 / (1)エヽ人でなしちく生め。色と義理との二つこそ浮世のひとのかざりなれ。恋とて義理もすてられず。義理にも恋はやめられず。ぬしさだまりし女には大名公家も見ゆるして。たしなみ給ふは此道也あかりへは出ぬ中なれど。たがいにはからぬ心ざししつていながらむごたらしう。ねとろうとする悪心はいぬにもねこにもおとつたり。其心ていを見ぞこない大せつな義を頼んだる。我をたはけとわらはれん / これは、恋人おきさに横恋慕し、立場を利用して奪い取ろうとする恋敵弥兵衛に対する、言葉による反撃である。……

収録刊行物

  • 文学史研究

    文学史研究 33 79-89, 1992-12

    大阪市立大学国語国文学研究室

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