スエトーニウスと皇帝理念

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  • スエトーニウス ト コウテイ リネン

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抄録

一 庶民対貴族なる階級斗争‐それは前者の包含する社会層の経済的多岐広範ゆえに、総体としては身分斗争の形態として具象化するに留まらざるを得なかった‐を中核として、民主化への途を辿りつつあるかに見えたローマ共和政が、その伝統的本質を維持せんとする一部有識士人の抵抗にも拘わらず、終には独裁制乃至帝政にその終止符を打たれざるを得なかった事実は、恰も強固なローマ的家父長制と社会的寡頭制とに貫かれつつ、敢て古代地主的戦士団乃至は有産市民団の都市国家としての性質をば飽く迄も保持し乍ら自らの世界帝国への発展に対応し続けんとしたローマの、将に直面す可かりし酷薄な運命と観ぜられよう。……

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 8 (9), 1024-1035, 1957

    大阪市立大学文学会

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