飯田豊・立石祥子編著 : 『現代メディア・イベント論 : パブリック・ビューイングからゲーム実況まで』 : (勁草書房, 2017年, 四六判, 261頁, 3000円+税)

書誌事項

タイトル別名
  • イイダ ユタカ タテイシ ショウコ ヘンチョ ゲンダイ メディア イベントロン パブリック ビューイング カラ ゲーム ジッキョウ マデ ケイソウ ショボウ 2017ネン シロクバン 261ページ 3000エン+ゼイ

抄録

情報技術の発達とともに, われわれを取り巻くメディア環境はかつてない大きな変化が起こっている. 街頭から電車の中までスクリーンが遍在するようになり, スマートフォン, タブレットの普及によって, もはや我々はラジオ, テレビの前に座らなくなり, 掌の上でいつでもどこでも情報が手に入るようになった. こうした状況のなかで, 「オーディエンス」という概念自体が曖昧になっている. 評者は, 新たなメディア形式の1つである弾幕動画のオーディエンスに興味を抱き, その研究を進めている. 弾幕動画と現実空間のメディア・イベント, 弾幕動画のオーディエンスとメディア・イベントの参加者, ネット社会のコミュニケーションと現実社会のコミュニケーション, そのような関係を対比的に考えながら, 本書を読んだ. 本書はメディア研究の社会学理論を踏まえた上で, この数年間に流行した, あるいは今も流行するメディア・イベントの具体例を通して議論を展開している. テーマは音楽フェスからジン(zine)まで様々あるが, すべては「日常生活の時間の流れから相対的に切断された次元に成立するイベント」であり, 「参加者のあいだに連帯の感情が共有されているかのような, 一時的で, 仮説的な体験」である. 挙げられた事例は比較的新しく, 学術的書類がほとんどないため, 本書は社会学の理論で現代の事象を解読する斬新な視点を提示する貴重な一冊になるだろう. ……

収録刊行物

  • 市大社会学

    市大社会学 15 76-81, 2018-03-31

    大阪市立大学社会学研究会

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