IoTやAIが話題となり,製造業ではドイツのIndustrie 4.0や米国のIndustrial Internet Consortium(IIC)などの,スマートファクトリやマスカスタマイゼーションを実現する取組みが脚光を浴びている。我が国の製造業では,少子高齢化による作業者の減少と熟練技能者の退職という問題に直面している一方,工業製品の製造においては,生産形態は大量生産から一品生産(カスタマイズ生産)へ,製品寿命はより短く,製品の加工工程や組立工程はより複雑になっている。工業製品の製造においては高度な自動化が求められ,産業用ロボットの教示作業や機械加工用のプログラム作成のように,自動化を実現するための準備作業に要する労力が増加する一方で,それを行う人的資源が不足するために自動化が実現できないという危機的な状況に追い込まれてしまう。この人的資源の不足を補うためには,これまでの人に頼る自動化から人に頼らない自律化への転換が求められている。
神戸大学大学院工学研究科・システム情報学研究科紀要 10 13-16, 2018
神戸大学大学院工学研究科