タクトの啓発と「ありうること」への開放 ―ヴァン=マーネンの省察理論と意味生成の沃野―

書誌事項

タイトル別名
  • Edification of tact and openness toward possibility - Theory of reflection and meaningful world by Max van Manen -
  • タクト ノ ケイハツ ト 「 アリウル コト 」 エ ノ カイホウ : ヴァン=マーネン ノ セイサツ リロン ト イミ セイセイ ノ ヨクヤ

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抄録

本稿の課題は,カナダの教育学者ヴァン=マーネン(M. v. Manen)による諸論稿を導きとしながら,教育者に不可欠の資 質である「タクト」(tact)を涵養するための方途の一つとして,個々の教育実践の事例に関する「省察」(reflection)の意義 と役割を解き明かすことにある。この探究の成果として,本稿は,①個別の事例に関する省察を通して,個々の生きられた 経験の「ありうる」意味と本質が覆いを取られ,これによって,人間の生とこれを取り巻いている状況の,複雑性と偶然性 に満ちた「ありうること」(possibility)への開放が実現されること,②この生と状況の「ありうること」への開放という契 機こそが,個々の子どもに固有の経験の「ありうる」意味深さや,個々の状況のなかで生い立つ「ありうる」規範を感得し うる資質を涵養することで,教育者のタクトが啓発されるための素地を拓き整えるものであること,という二つの点を明ら かにすることで,事例の省察を通したタクトの啓発という出来事の構造を解き明かした。

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