‘Human Nature’ in Butler’s Moral Philosophy: Butler and Hume

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  • バトラー道徳哲学における人間本性──バトラーとヒューム──
  • バトラー道徳哲学における人間本性 : バトラーとヒューム
  • バトラー ドウトク テツガク ニ オケル ニンゲン ホンショウ : バトラー ト ヒューム

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Abstract

本稿は、ヒューム道徳哲学成立に果たしたバトラーの人間本性概念の意 義を検討することを目的とする。バトラーにおいて神による自然の統治と 人間の道徳的統治が類比的に扱われている。自然と道徳の統一はヒューム 哲学を貫く根本的な主題である。ヒューム道徳哲学は、合理論と道徳感情 論の対立また人間本性の道徳性をめぐる性善説と性悪説の対立を時代的背 景として成立した。ヒュームはその論争にバトラーが論じた人間本性その ものの解明を目指す立場から決着をつけようとした。この点でバトラーは ヒュームが目指した「人間の科学」の成立に重要な手がかりを提供してい る。本稿で私はバトラーの道徳哲学の基本構造を明らかにし、ヒュームと バトラーの議論の親近性と影響関係を具体的に指摘することで、ヒューム の「人間の自然(本性)」がバトラーの統一的な人間本性の理論を引き継 ぐものであることを示す。その過程で両者の理論がともに道徳と自己利益 の一致を論証していることが明らかになる。こうして本稿では、ヒューム がバトラーの「習慣」概念を批判的に発展させることで、良心論を中心と するバトラーの神学的道徳論を神と良心の存在を前提としない世俗的道徳 論へと転換したことが論じられる。

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