さまざまな業種,職種で「働き方の多様化」が進展している。本研究では、そのなかでもフリーエージェント,フリーランスに注目している。とくに,柔軟な働き方を求めICT を活用しながら,新たに広がってきた「フリーライター」に焦点を絞っている。アンケート調査を通じて,フリーライターを選んだ動機,実際の就業形態,収入や労働時間,社会保険加入の状況などを明らかにしている。そして,雇用関係によらない就業者のためにも,公的な医療保障と年金保障などの社会保障システムの制度的対応が焦眉の課題となっていることが確認された。同時に,フリーランス支援団体のなかでは,独自の民間保険サービスの拡充・創設をはかり,フリーランスの就業リスク,生活リスクをカバーする試みが始まっていることにも期待が寄せられている。
国民経済雑誌 221 (5), 1-20, 2020-05-10
神戸大学経済経営学会