<論説>古代エジプトの「二柱のマアト」 --概念の変遷とその実体をめぐって--

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Ancient Egyptian Goddesses Dual Maat: An Exploration of the Evolving Conception and Its Essence
  • 古代エジプトの「二柱のマアト」 : 概念の変遷とその実体をめぐって
  • コダイ エジプト ノ 「 ニ チュウ ノ マアト 」 : ガイネン ノ ヘンセン ト ソノ ジッタイ オ メグッテ

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抄録

「二柱のマアト」は、古代エジプトに固有の抽象概念マアト(mꜣꜥ.t)の特殊な神格化である。この二柱の女神は、「死者の書」の核心部分である死者の裁判の場面に登場し、長きにわたり古代エジプト人の思想に影響を与え続けた「二柱のマアト」の実体や変化の理由の理解を目指す研究は「死者の書」の記述や図像の分析を中心に継続されてきたが、未だ見解の一致をみていない。このような背景から、筆者はこれまでに「死者の書」が登場する以前の時代の史料に遡り、エジプト古王国時代から中王国時代にかけての「二柱のマアト」を意味する語mꜣꜥtyの抽出と各事例の分析を進めてきた。本論説では、これらの成果を基盤として、mꜣꜥtyの語が示す意味と限定符の特徴の比較を通してmꜣꜥtyの意味の変遷を考察する。そして、「コフィン・テキスト」上の神々の同一関係を示す記述に注目し、中王国時代までに形成された「二柱のマアト」の実体解明を試みる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 104 (3), 375-406, 2021-05-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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