How Should the Misassignment of Ownership Be Resolved in the Absence of a Binding Contract?: A Review of Grossman and Hart (1986) “The Costs and Benefits of Ownership”

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  • 企業の境界はどのように決まるのか : Grossman and Hart (1986) “The Costs and Benefits of Ownership” のレビュー
  • キギョウ ノ キョウカイ ワ ドノ ヨウ ニ キマル ノ カ : Grossman and Hart (1986) "The Costs and Benefits of Ownership"ノ レビュー

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Abstract

本稿では、資産を巡る最適契約形態を考えることで、資産の所有権の最適範囲、ひいては、企業の境界がどのように決まるのかを考察する。市場を活用するには契約を介する必要があり、そのためには契約の作成およびその強制が不可避となり、それには費用がかかる。例えば、二人の当事者が、工場の生産設備の貸借に関する契約を締結するとき、設備資産の使用に関するすべての権利を、起こりうるすべての状況の下で如何に行使するのかを明記した契約書を作成する必要があるが、しかしながら、どれほど費用をかけてもそれはできそうもない。そこで、資産に関する契約に明記する限定的な使用権、および、契約に明記しないそれ以外の権利を分け、一方の当事者に特定の限定的な使用権のみを帰属させ、他方の当事者にその他のすべての権限を保有させることは適切な契約形態であるかもしれない。所有権はそれらの残余請求権の占有/購入を意味する。ところが、この種の契約形態にも問題がある。それは、残余請求権が一方の当事者に占有/購入されるとき、もう一方の当事者から資産の所有権が失われることを意味し、そして、このことが、不可避的に、所有インセンティブにまつわるある種の歪みを生じさせ、その結果、非効率となることである。したがって、一方の当事者が資産を占有/購入するのは、資産の残余コントロール権の占有によるマネジメント生産性の増大分が、他方の当事者の資産の残余コントロール権の喪失によるマネジメント生産性の低下分を上回るときに限られるべきである。

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