法政策学における経済学活用の可能性について

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  • Can Economics Work for Legal Policy Making?
  • ホウ セイサクガク ニ オケル ケイザイガク カツヨウ ノ カノウセイ ニ ツイテ

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抄録

<p>経済学には制度設計に関する研究分野が潤沢てある。一般の経済学者は自由な競争はよい結果をもたらすからこそよいと主張しているに過ぎず,その根拠は「市場メカニズム(価格メカニズム)はパレート効率を達成する」といういわゆる厚生経済学の第一基本定理てある。しかし,市場がパレート効率の逹成に失敗するケースは種々存在し,政策介入,制度設計の根拠として敬重されるべきである。</p><p>現状のパレート劣位な状況に対し,普通,複数のパレート優位な状況があり,数あるパレート効率な状況の比較に立ち入るには,通常余剰分析が必要になる。余剰分析が適当な厚生評価の手段であるためには,効用の可測性(基数性)と個人間の比較可能性の仮定が必要とされ,経済学の科学性を奪うので,政策提案の際にはこれらの仮定が認めてもらえるかどうかの確詔をする必要がある。また,公共政策においては,何らかの公平性の確保を含めたシステムの導入は必要だが,現実の政策実施の前提では効率面での損失というトレードオフを引き起こす。</p><p>経済学が通常暗黙のうちに置く個人の合理性の仮定は,人間が行う選択肢の多さ,複雑さにより,計算可能性問題,先読み推量の限界の問題を引き起こすが,人間がどう合理的でないかをきちんと示してパターナリスティックな政策は採用されるべ彦であろう。</p>

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