個票データを用いた労働・資本収益性の部門別計測

書誌事項

タイトル別名
  • Labor and Capital Profitability of Japanese Agriculture: Evidence from Farm-level Data
  • コヒョウ データ オ モチイタ ロウドウ ・ シホン シュウエキセイ ノ ブモン ベツ ケイソク

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説明

「農業経営統計調査」の個票データを用いて,部門別に労働及び資本当たりの農業所得を比較した。分析対象は,水田作,畑作,露地野菜,施設野菜,果樹,酪農の6部門における個別経営体(組織経営体を除く)である。労働収益性(家族労働1時間当たりの農業所得)については,部門間格差が大きく,高い順に畑作(北海道),酪農,施設野菜,果樹,露地野菜,水田作であった。2004~16年における変化を見ると,酪農は年率約6%,他の部門は年率1~2%で上昇トレンドにあった。労働収益性上昇のメカニズムは,(1)シェア効果,つまり大規模化・構造変化が部門全体の成長を牽けん引いんしている水田作,畑作(北海道),露地野菜,(2)成長効果,つまり個々の経営体の収益性の改善が全体の成長を牽引している施設野菜,果樹,酪農と,部門ごとに異なる特徴を有していた。資本収益性(固定資産当たりの農業所得)については,いずれの部門でも成長率は年率5~13%と高く,特に2010年以降顕著な伸びを示している。この成長は,シェア効果ではなく成長効果が主因であり,いずれの部門,規模階層でも資本収益性の改善が進んでいることを示唆する結果であった。

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