<i>Blastocystis hominis</i>による下痢症に対してSternheimer染色が有用であった1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case in which Sternheimer staining was useful for diagnosis of diarrhea caused by <i>Blastocystis hominis</i>
  • Blastocystis hominisによる下痢症に対してSternheimer染色が有用であった1例
  • Blastocystis hominis ニ ヨル ゲリショウ ニ タイシテ Sternheimer センショク ガ ユウヨウ デ アッタ 1レイ

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抄録

<p>Blastocystis hominisB. hominis)はヒトの大腸に寄生し,下痢や嘔吐を引き起こす原虫として知られているが寄生していても無症状のこともあり,その病原性に関しては未だ不明な部分も多い。今回,B. hominisが原因と考えられる下痢症を経験したので,染色法と併せて報告する。症例は80代,男性。頻回の下痢の精査目的に提出された便のグラム染色で寄生虫が疑われ,その後に提出された便の直接薄層塗抹法で虫体を確認し,B. hominisと報告した。本症例をB. hominisによる下痢症と考えた理由は ①虫体が検出されたこと ②下痢の起因菌の検出がなかったこと ③血中好酸球が増加したこと ④メトロニダゾール処方により症状改善と好酸球数が減少したことの4つが挙げられる。しかし,③と④については因果関係がはっきりしないためB. hominisによる下痢症と断言することはできないが,寄生虫感染による好酸球増多が推測される症例であった。B. hominisを鑑別する際,各染色法の比較を行った。グラム染色,ヨード染色,ギムザ染色に加え,尿沈渣鏡検で使用するSternheimer染色(S染色)を実施した。どれも染色性は良好であったが,S染色は内部構造が明瞭に観察できた。S染色は簡便かつ身近な染色法であるため,B. hominisの検出において有効な染色法であると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (1), 148-152, 2022-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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