当院におけるペニシリンディスクゾーンエッジテストによるメチシリン感受性黄色ブドウ球菌のβ-ラクタマーゼ産生の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Examination of β-lactamase production by methicillin-sensitive <i>Staphylococcus aureus</i> by penicillin disc zone edge test at our hospital
  • トウ イン ニ オケル ペニシリンディスクゾーンエッジテスト ニ ヨル メチシリン カンジュセイ オウショクブドウキュウキン ノ v-ラクタマーゼ サンセイ ノ ケントウ

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説明

<p>ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)に対する最適治療は定まっていないが,近年,ペニシリンG(PCG)の有用性が示唆されている。国内においてはペニシリナーゼ耐性ペニシリンが承認されていないため,ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)を含むメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)に対する静注治療薬はセファゾリン(CEZ)が第一選択薬である。しかし,2019年に原薬入荷および製造等の問題により製品の安定供給が困難となった。1年半経過して供給体制が回復したが,今後も同様の事態が起きることは否定できない。そこで,ペニシリンに対して感性と判定されたMSSAに対して,β-ラクタマーゼ産生確認試験を行うことでPSSAと判定し,第一選択薬としてPCGが使用可能になることは臨床的意義が高いと考えられる。今回,当院の過去約4年間の血液培養から分離されたMSSA株のうち,PCGに対する最小発育阻止濃度(MIC)が ≤ 0.12 μg/mLと感性と判定された26株に対して,ペニシリンディスクゾーンエッジテストを行ったところ2株が陽性となった。一方で,喀痰,尿,便,膿,関節液など血液以外の材料から分離され保存できていた70株についてもゾーンエッジテストを行ったところ,全例陰性であった。PCGに対するMIC値が感性であった場合にはPSSAであると報告する前に,ペニシリンディスクゾーンエッジテストによるβ-ラクタマーゼ産生の有無を確認することで,臨床現場に適切な抗菌薬選択の情報を提供すべきと考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (1), 61-66, 2022-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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