近世の建築用墨掛道具について —伝世品をはじめとした関連資料の調査報告その6—

DOI
  • 渡邉 晶
    財団法人 竹中大工道具館主任研究員

書誌事項

タイトル別名
  • Architectural Marking Tools in the 17th – 19th century —Sixth Report Research on Old Tools and Other Reference Materials—

抄録

1943年に労働科学研究所の行った調査によれば, 一人前の大工が本格的な仕事で使う道具は179点、そのうち主要な墨掛道具は4種類7点であった。これが近・現代における主要墨掛道具の標準編成である。 では、近世の建築用主要墨掛道具には、どういう種類があったのだろうか。近世の実物・文献・絵画の諸資料を調査した結果、次のように要約することができる。 (1)近世の建築用主要墨掛道具として、少なくとも8種類12点のものが使われていた。 (2)主要墨掛道具の名称は、「スミツボ」、「スミサシ」、「マガリカネ」あるいは「サシガネ」、「ケヒキ」であった。 (3) 17世紀から19世紀にかけて、スミツボの形状変化があったと推定した。 (4)材質として、スミツボは「桑」「欅」、スミサシは「竹」、サシガネは「鋼鉄」の記述があった。 (5) サシガネの寸法として、「大中小」 4点の記述があった。 (6) 作業姿勢として、墨付けの種類によって中腰と座位の使い分けが見られた。 (7) 由来に関して、古くは「スミナワ」を使っていたとの記述があった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290929780013440
  • NII論文ID
    130008149577
  • DOI
    10.50862/dougukan.8.0_1
  • ISSN
    24361453
    09153683
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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