IgG4 関連疾患の新展開

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  • 第122回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム IgG4関連疾患の新展開
  • ダイ122カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム IgG4 カンレン シッカン ノ シン テンカイ

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抄録

<p> 19世紀末に報告されたミクリッツ病は, シェーグレン症候群の亜型とされた時代を経て, 今日 IgG4 関連疾患に含まれる IgG4 関連涙腺・唾液腺炎という新たな疾患として認識されている. 本邦より疾患概念が提唱されてからすでに15年以上が経過し, 包括診断基準ならびに唾液腺を含む臓器別診断基準も改訂が進み, 欧米でも新分類基準が作成されるに至り, 本疾患に関する知見や経験は随分と蓄積されてきた. 診断基準の改訂により, 顎下腺腫脹のみといった病変が1カ所のみの場合も診断可能となり, 生検部位として口唇腺も含まれた. 治験や研究を目的とした欧米の分類基準も, 高い特異度を示し, 実地臨床でも活用可能である. これらの診断基準や分類基準を用いて, 症例を拾い上げ, かつ正確な診断を行うことが耳鼻咽喉科医にも求められている. 耳鼻咽喉科頭頸部領域における IgG4 関連疾患の典型的な罹患臓器として, 頻度の高い涙腺・唾液腺のほか, 肥厚性硬膜炎, IgG4 関連甲状腺疾患が含まれる. 肥厚性硬膜炎は, その原因として ANCA 関連疾患と IgG4 関連疾患が含まれることから, 耳鼻咽喉科医も念頭に置くべき疾患となっている. IgG4 関連甲状腺疾患にはリーデル甲状腺炎, 橋本病線維性亜型, IgG4 関連橋本病, 高 IgG4 血症を伴うバセドウ病などが含まれ, 明確な疾患分類は確立されてはいないが, IgG4 関連甲状腺疾患の診断基準が提唱されている. さらに近年, 新規唾液腺臓器の可能性として報告された tubarial gland も, IgG4 関連疾患の罹患臓器である可能性が示唆されている. tubarial gland についてはさらなる検証が望まれるが, 現時点で IgG4 関連涙腺・唾液腺炎症例の約3割でこの tubarial gland が罹患している可能性がある. 特徴的な局所所見を示すことも示唆されており, 今後の研究結果が期待される.</p>

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