緊急帝王切開術後のレントゲン検査で腹腔内異物との鑑別を要したヨード油性造影剤残留の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Residual oil-based iodinated contrast medium accumulation that mimicked an abdominal foreign body, following an emergency cesarean delivery : a case report
  • キンキュウ テイオウ セッカイ ジュツゴ ノ レントゲン ケンサ デ フクコウ ナイ イブツ ト ノ カンベツ オ ヨウシタ ヨード ユセイゾウエイザイ ザンリュウ ノ 1レイ

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説明

<p>ヨード油性造影剤は子宮卵管造影検査に広く用いられている.ヨード油性造影剤は生体への吸収が遅いため長期間体内に残留することがあり,これはレントゲン検査において金属と同程度のCT値として描出されるため,術後に思わぬ混乱を招く可能性がある.今回,子宮卵管造影検査施行の既往のある患者において,緊急帝王切開後の腹部単純レントゲン検査で金属と見紛う陰影を認めた症例を経験した.患者は前医で融解胚盤胞移植にて妊娠成立した.分娩は子宮内感染・陣痛誘発不成功のため緊急帝王切開となり,術直後の腹部単純レントゲン検査で骨盤内に辺縁整な類円形の均一に高吸収域な腫瘤様陰影を認めた.腹腔内異物の疑いで腹部単純computed tomography(CT)検査を施行したところ,異物はダグラス窩右側にあり,CT値は3000 hounsfield unit(HU)と金属と同程度であった.手術終了時の器械カウントは問題なかったが,明らかに人工的なCT値であり,再開腹を考慮すべき状況ではあったが,患者への再度の問診から子宮卵管造影検査施行の既往が明らかとなり,過去の文献から造影剤遺残の疑い濃厚と判断し,まずは経過観察の方針とした.退院約5カ月後,腹部単純レントゲン検査で骨盤内の腫瘤様陰影の変形縮小を認め,ヨード油性造影剤の残留と診断した.子宮卵管造影検査歴がある患者においては造影剤残留の可能性を念頭において診療を行う必要がある.〔産婦の進歩74(1):166-170,2022(令和4年2月)〕</p>

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