iPad 導入による教育効果の検討

DOI
  • 吉澤 隆志
    福岡和白リハビリテーション学院 理学療法学科

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p>リハビリテーション分野におけるタブレット教材を用いたICT 教育の具体的な取り組みとしては,反転授業やインターネットを利用した授業資料配布,演習中の動画撮影などがある.今後より一層ICT 教育が推進されていく中で,iPad 等のタブレット教材を用いた教育効果を検討することは非常に重要である.ブルームのタキソノミーは,認知領域・情意領域・精神運動領域という3 つの領域からなり,教員が学生に授業の教育目標を提示する際に有用である.しかし,教育目標に沿ったICT 活用法の立案を行い,ブルームのタキソノミーに基づきタブレット導入の効果を検討した研究はほとんどない.よって,本研究の目的は,理学療法学科学生の授業にiPad を導入し,ブルームのタキソノミーに基づいた教育効果について検討すると共に,教育目標が達成できているかを検討することである.</p><p>【対象】</p><p>A 専門学校理学療法学科昼間コース1 年生80 名とした.</p><p>【方法】</p><p>A 専門学校において,“基礎理学療法学I “という授業が開講される.教育目標としては,主に理学療法士になるための情意領域の育成である.授業の内容としては,はじめに教員が座学を行い,その内容を基に学生同士で課題の解答を導くための調べ学習やグループワークおよび『車椅子体験』や『片麻痺体験』を行った.また,全体に向けて,班内でまとめた意見の発表を行った.本研究では,学生が調べ学習を行う際にiPad を積極的に使用した.また,『体験』授業の演習場面を学生同士でiPad を使用して動画撮影し班内で動画を共有することを促すと共に,動画を視聴しながらの模倣・介助練習およびグループワークを行うように指導した.また,全体に向けての発表は,iPad で撮影した動画をスクリーン上で再生しながら行った.iPad 導入に関する授業アンケート(以下,授業アンケート)は,中田らが作成したもの(9 項目)を使用した.なお,Q1. ~ Q3. は認知領域,Q4. ~Q6. は情意領域,Q7. ~ Q9. は精神運動領域に該当する内容である.授業最終日に,それぞれの項目に関して0 ~ 10(11 段階)の数字を紙面にて回答してもらった.なお,授業アンケートは無記名とした.統計解析として,授業アンケート結果の関係についてFriedman 検定を用いて調べた.その後,多重比較としてBonferroni 検定を用いて調べた.なお,統計解析にはSPSS Statistics V22.0 を使用し,有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>認知・情意・精神運動領域ごとの授業アンケート合算結果(中央値)は,それぞれ19,24,21 であった。各領域の合算結果についてFriedman 検定を行ったところ有意であり(p</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>事前に対象に対し,十分な説明を行った.その後,本研究に同意しアンケートに回答した者を研究対象とした.なお,本研究は,所属施設の倫理委員会の承認を得た上で実施した(承認番号FW-20-04).</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390290958083123200
  • NII論文ID
    130008154609
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2021.0_35
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ