子宮頸部細胞診異常を契機に子宮頸部円錐切除術を行い診断に至った若年子宮頸部腺様囊胞癌の1例

  • 伴 建二
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科
  • 松本 久宣
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科
  • 小椋 恵利
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科
  • 藤上 友輔
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科
  • 赤木 佳奈
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科
  • 岡垣 篤彦
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科
  • 森 清
    国立病院機構大阪医療センター臨床検査科
  • 巽 啓司
    国立病院機構大阪医療センター産科婦人科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of uterine cervical adenoid cystic carcinoma in a young woman diagnosed with cervical conization for an abnormal cytology result
  • シキュウ ケイブ サイボウシン イジョウ オ ケイキ ニ シキュウ ケイブ エンスイ セツジョジュツ オ オコナイ シンダン ニ イタッタ ジャクネン シキュウ ケイブ センヨウ ノウホウ ガン ノ 1レイ

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抄録

<p>腺様囊胞癌(adenoid cystic carcinoma;ACC)は唾液腺に最も多く認められる悪性腫瘍で,子宮頸部由来はきわめてまれである.子宮頸部擦過細胞診の異常を契機に診断し得た子宮頸部腺様囊胞癌の1例を経験した.本症例の女性は35歳で症状はなく,子宮頸部擦過細胞診で上皮内腺癌疑いであったが,コルポスコピーは正常所見,血清腫瘍マーカー値,経腟超音波検査や骨盤部MRI検査およびPET-CT検査においても異常所見は認められず,診断的にLEEP(loop electrosurgical excision procedure)子宮頸部円錐切除術を施行した.病理組織所見では上皮内腺癌を認め,また異型細胞が管状構造や篩状構造を作り,深層では内部に分裂像を多数伴う小充実胞巣が浸潤性に増殖し,一部の胞巣内には好酸性物質の貯留した管腔様構造を認め,腫瘍の間質浸潤の深さは7.5 mm,広がりは9.1 mmであった.また腫瘍細胞ではびまん性にp16が陽性で,深部充実胞巣はp63陽性細胞に縁取りされていた.以上より子宮頸部腺様囊胞癌,進行期IB1期と診断し,広汎子宮全摘出術,両側付属器摘出術,傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.補助化学療法として,paclitaxel(PTX),carboplatin(CBDCA)およびbevacizumab(TC-Bev)療法を6コース施行した.術後48カ月で再発所見は認めず,現在も経過観察中である.本邦における子宮頸部ACCの頻度は全子宮頸癌の0.037%であった.無症状やコルポスコピーで異常所見が認められない場合でも子宮頸部ACCは他の組織型の癌を合併することが多いため,子宮頸部擦過細胞診で異常を認めた場合には,診断的子宮頸部円錐切除術の実施を考慮することが肝要であると考えられた.〔産婦の進歩74(1):86-93,2022(令和4年2月)〕</p>

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