建設業における労働災害の基礎的分析

  • 玉手 聡
    (独)労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 労働災害調査分析センター

書誌事項

タイトル別名
  • Fundamental Analyses on Industrial Accidents in the Construction Industry
  • ケンセツギョウ ニ オケル ロウドウ サイガイ ノ キソテキ ブンセキ

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抄録

<p>本研究では建設業における労働災害について発生数の推移とその状況分析からさらなる災害防止に必要な課題を考察する.建設業における労働災害は1961 年から2020 年までの59 年間に死亡災害は1/10 に減少した.この値は全産業の1/8 よりも減少率は高いものの就業者数に対する建設業の死傷危険度は全産業よりも1.6 倍高く,死亡危険度に至っては4.5 倍高い.また,法違反の状況を見ると建設業では安全基準に関する違反が全体の43%を占めその値は製造業よりも3.5 倍多い.したがって,建設業では全産業よりも災害は減少しているものの重篤度の高い事故が依然多い特徴がありその値には法違反に占める安全基準の割合との類似が見られた.さらに,災害事例を分析すると建設業では「墜落,転落」「激突され」「崩壊,倒壊」「飛来,落下」といった事故が多い.その事故は工事現場で発生しており労働環境には「工事用仮設」という共通点が見られた.他の産業が常設の屋内設備の中で仕事をするのに対して建設業では仮設の屋外設備で仕事をする.本論文では国から公表されている資料の分析に基づいて建設業におけるさらなる災害防止のための課題を整理する.</p>

収録刊行物

  • 安全工学

    安全工学 61 (1), 35-44, 2022-02-15

    安全工学会

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