超音波エラストグラフィーを用いたクローン病狭窄病変評価の検討

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抄録

<p>背景:消化管狭窄に対する評価は従来X線造影検査や内視鏡検査で行われてきた。その中でもクローン病による腸管狭窄病変の評価は、慢性炎症や線維化など複雑な病態を呈するため、その評価は困難である事が多い。目的:せん断波伝搬(shear wave)による超音波エラストグラフィー(SWE)を用いてクローン病狭窄病変の腸管の硬さの定量化を行う。方法:腸管狭窄を認める患者51例(クローン病(CD)40例、がん8例、憩室炎3例)を登録した。腸管狭窄病変に対して、腹部超音波検査でせん断波伝搬(shear wave)による超音波エラストグラフィー(SWE)を行い、腸管組織の硬さの定量化を行った。さらにCD40例(平均年齢45.2±15.7歳)に関して、生物学製剤による腸管狭窄病変のSWE値の経時的変化(ベースSWE値、治療1年後SWE、差=1年後SWE-ベースSWE)についての検討を行った。結果:CD狭窄部SWE値(平均3.07±1.16)は正常小腸SWE値(平均1.85±0.36)と比較して、有意に高値であった。一方、がん狭窄部SWE値(4.67±0.49)よりも有意に低値であった。またCDの治療によるSWE値の変化は、インフリキシマブ(IFX)治療群6例(ベース2.48±1.14→1年後2.67±1.06, 差+0.19)、ウステキヌマブ(UST)治療群6例(3.59±1.19→1.77±0.37、差-1.82)、IFX→UST治療群6例(3.62±0.84→3.51±0.82、差0.11)で有意差を認めた。結論:CD狭窄部病変に対してSWEで腸管の硬さの定量化を行った。CD狭窄部のSWE値は、憩室炎より高く、がんよりも有意に低値であった。また、IFXとUST治療により1年後のSWE値変化が異なっており、生物学的製剤の種類によりCD狭窄部の組織の硬さが異なる可能性が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390291115046794624
  • NII論文ID
    130008161102
  • DOI
    10.32264/shocho.5.0_59
  • ISSN
    24347019
    24342912
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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