「通いの場」への参加は要支援・要介護リスクの悪化を抑制するか:JAGES2013-2016縦断研究

DOI Web Site PubMed 被引用文献1件 オープンアクセス
  • 田近 敦子
    千葉大学大学院医学薬学府
  • 井手 一茂
    千葉大学予防医学センター 長谷川病院地域包括支援課
  • 飯塚 玄明
    千葉大学大学院医学薬学府 千葉大学予防医学センター 亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科
  • 辻 大士
    千葉大学予防医学センター 筑波大学体育系
  • 横山 芽衣子
    千葉大学予防医学センター
  • 尾島 俊之
    浜松医科大学健康社会医学講座
  • 近藤 克則
    千葉大学予防医学センター 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Does participation in community gatherings suppress aggravation of functional decline risk among older people? A study based on 2013-2016 data from the Japan Gerontological Evaluation Study
  • 「 カヨイ ノ バ 」 エ ノ サンカ ワ ヨウ シエン ・ ヨウカイゴリスク ノ アッカ オ ヨクセイ スル カ : JAGES2013-2016 ジュウダン ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

<p>目的 厚生労働省は2014年の介護保険法改正を通じて,本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた取組も進めるとし,通いの場づくりを中心とした一般介護予防事業を設けた。しかし,通いの場への参加による介護予防の効果を複数の市町を対象に検証した報告は少ない。本研究の目的は通いの場参加による要支援・要介護リスクの抑制効果を10道県24市町のデータを用い検証することである。</p><p>方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が10道県24市町在住の要介護認定を受けていない65歳以上を対象に実施した,2013・2016年度の2時点の自記式郵送調査データを用いた。目的変数は要支援・要介護リスク評価尺度(Tsuji, et al., 2018)の合計点数(以下,要介護リスク点数)5点以上の悪化とし,説明変数は通いの場参加の有無とした。調整変数は2013年度の教育歴,等価所得,うつ,喫煙,飲酒,手段的日常生活動作,2013年度の要介護リスク点数(性・年齢を含む),さらに独居と就業状況を加えた9変数とした。統計学的分析は全対象者,および前期・後期高齢者で層別化したポアソン回帰分析(有意水準5%)を行った。感度分析として,要介護リスク点数を3点,7点以上の悪化とする分析も行った。</p><p>結果 対象者3,760名のうち参加者は全体で472人(前期高齢者316人,後期高齢者156人),12.6%(11.8%,14.5%)であった。参加なしに対して参加あり群における要介護リスク点数5点以上の悪化の発生率比は全対象者で0.88(95%信頼区間:0.65-1.18),前期高齢者で1.13(0.80-1.60),後期高齢者で0.54(0.30-0.96)となり,後期高齢者で有意であった。また,要介護リスク点数3点や7点以上の悪化を目的変数とした感度分析でも同様の結果であった。</p><p>結論 非参加者と比較し,通いの場参加者において,要介護リスク点数5点以上の悪化は,後期高齢者で46%抑制されていた。とくに後期高齢者が多い地域に対して通いの場づくりを進め参加者を増やすことが,介護予防を推進する上で有効である可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ