PC12細胞に対する緩慢な酸化ストレス:神経組織における慢性的酸化損傷の簡易モデル

  • 佐藤 広顕
    東京農業大学生物産業学部食品香粧学科
  • MAGOON Joanne
    Biotechnology Research Institute, National Research Council Canada
  • 髙野 克己
    東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科
  • 小西 康生
    Biotechnology Research Institute, National Research Council Canada

書誌事項

タイトル別名
  • Mild Oxidative Stress on the PC12 Cell Line: A Simple Model of Chronic Neural Tissue Oxidative Damage

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説明

<p> 神経疾患の原因の一つとして,慢性的な酸化ストレスがあげられる。酸化ストレスの軽減には,抗酸化物質が用いられる。抗酸化試験には,培養細胞を用いたスクリーニングが用いられるが,培養細胞への過度の酸化ストレスは,結果が迅速に得られる反面,慢性的なストレスに対する抗酸化性を見落とす可能性がある。本研究では,慢性的な酸化モデルを構築するため,神経系の研究で広く用いられるPC12細胞に対する過酸化水素(H2O2)による緩慢な酸化ストレス系を作成した。神経成長因子誘導による分化PC12細胞をH2O2を含む培地に6日間晒し,その生存率を調べた。その結果,50μM H2O2で処理した細胞は,処理開始後3日までは,その生存率にほとんど影響がなかったのに対し,6日後には生存率が顕著に低下した。そこで,本実験では,この条件を緩慢な酸化ストレス系として用いた。さらに,抗酸化剤として知られるN-アセチル-L-システイン(NALC)をストレス細胞に添加した。その結果,H2O2処理前および処理中にNALCを添加した場合は,細胞の酸化損傷が顕著に軽減された。しかし,処理後に添加した場合はその軽減率は低かった。本研究では,試験的な試みとして,すでに抗酸化剤として知られるNALCを用いたが,さらに改良を加えることにより,天然および人工物質から抗酸化剤をスクリーニングすることに応用が可能であると考えられる。</p>

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参考文献 (19)*注記

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