瀬戸内海西部海域のナルトビエイAetobatus narutobieiの胎内仔魚期からの発育段階区分

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  • Study on the development from embryo to adult stages in the Naru eagle ray, Aetobatus narutobiei, in the western Seto Inland Sea

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抄録

ナルトビエイは21世紀初頭から本邦西部域で大量出現し,有用貝類等を食害するとして駆除事業が行われる一方,絶滅危惧種ともされている。本種は卵胎生魚であるが,生活史全般の発育に関する研究はない。我々は2004-’12年に瀬戸内海西部域で調査を行い(標本数:胎内仔魚368尾,捕獲個体985尾),本種の発育について,海産硬骨魚類の発育段階区分(卵-仔魚-稚魚-若魚-未成魚-成魚)を参考に検討した。その結果,本種は基本的には硬骨魚類の発育段階を経るが胎内仔魚期に仔・稚魚期を経て,若魚期として誕生することが明らかとなった。胎内では前半は卵黄栄養,後半は組織栄養によって成長し,基本的な体形を完成した。誕生後は雌の方が雄よりゆっくり,大きく発育・成長し長命の性的二形の特性を示した。本種の仔魚発育・胎内保育の様式,および仔魚の成長を支える雌の大型化は,仔魚をより大きく発育・誕生させるための進化的デザインであると考えられる。

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