治療抵抗性がんに対する新たな治療戦略

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タイトル別名
  • Development of novel strategies to overcome therapeutic resistant cancers

抄録

<p>がん幹細胞は、がん組織の起源となり、その維持を担う細胞である。臨床的に見てがん幹細胞の最も重要な特徴は、種々の治療に抵抗性を示し再発や転移の原因になることである。しかし、その治療抵抗性のメカニズムは起源細胞やそれを取り巻く環境によって多彩であり単純ではない。がん幹細胞が樹立する機構としては、体性幹細胞にドライバー変異が導入され、がん幹細胞に変化するもの(幹細胞起源型)、慢性的な炎症を背景として前駆細胞から脱分化してがん幹細胞に変化するもの(前駆細胞起源型)の2つが考えられている。がん幹細胞の治療抵抗性機構はその成立機構の違いを反映し、通常のがん細胞に比べて巧みな生存戦略が内在されている。幹細胞型では分化制御のメカニズムが、前駆細胞起源型では活性酸素の抑制や細胞死抑制メカニズムが治療耐性に関与することを私たちは明らかにしてきた。本講演ではこれらの治療抵抗性機構を基礎研究データに基づいて解説し、ドラッグリポジショニングに基づく新たな治療戦略を提案したい。</p>

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