フィジカルアセスメントを加味した超音波検査が診断契機となった孤立性腹腔動脈解離の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Isolated Celiac Artery Dissection Successfully Diagnosed by Ultrasonography with Physical Assessment: A Case Report
  • フィジカルアセスメント オ カミ シタ チョウオンパ ケンサ ガ シンダン ケイキ ト ナッタ コリツセイ フクコウ ドウミャク カイリ ノ 1レイ

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抄録

<p>症例は80代男性.突然の心窩部痛にて救急外来を受診した.バイタルに生理学的異常は認められず,血液検査や心電図でも明らかな異常はみられなかった.消化器疾患を疑い超音波検査(US)が施行された.US中の症状聴取では急性発症で心窩部に限局した持続的な痛みであると訴えがあった.訴えを基に内臓血管を観察すると,腹腔動脈に限局した拡張と内腔に低輝度不均質な充実エコーを認め,腹腔動脈解離が疑われた.造影CTで腹腔動脈の限局的な瘤状拡張とflap, 内腔の狭小化がみられ,腹腔動脈解離と診断された.腹腔動脈起始部は狭窄しており,上腸間膜動脈から側副路を介して固有肝動脈が造影された.孤立性腹腔動脈解離の合併症は脾梗塞,後腹膜出血など多様である.高血圧と喫煙歴を有する例が多く,成因は特発性,外傷などの他,正中弓状靱帯圧迫症候群も推測されている.本症例では高血圧も喫煙歴もなく,正中弓状靱帯圧迫症候群が成因となった可能性が考えられる.本症例は消化器疾患を疑いUSが施行されたが,急性の内臓痛という痛みの性状から血管系疾患を考慮して観察(フィジカルアセスメント)することで腹腔動脈解離を指摘することができた.検者がフィジカルアセスメントを理解することでUSでの診断能は向上すると思われる.</p>

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 47 (2), 146-152, 2022-04-01

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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