魯迅 "生と性の軌跡" : 「長明灯」から「孤独者」、「傷逝」へ

書誌事項

タイトル別名
  • ロジン"ナマ ト セイ"ノ キセキ : 「 チョウ アキラトウ 」 カラ 「 コドクシャ 」 、 「 ショウセイ 」 エ
  • Lu Xun's “Lifeand Gender” : from “All-night Altar Lamp”to “The Solitary Man”and “Regret for the Past”

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type:Article

魯迅の作品研究においては、作品構成、主題、人物形象、成立背景などから、系統的に比較研究される特定の組み合せがある。本報告が対象とする「長明灯」(1925年3月、『彷律』1925年) は改革という主題と狂人という人物形象から「狂人日記」(1918年6月、『吶喊』)と、「孤独者」(1925年10月、『彷徨』)は作品意図、主題、人物形象と作者魯迅の思想的な投影から「酒楼にて」(「在酒楼上」、1924年2月、『彷徨』)と、さらに成立時期と雑誌未発表での刊行、魯迅の愛情、婚姻関係との結びつきから「傷逝」(1925年10月、『彷徨』)との組み合せで考察されることが多い。本稿では、こうした先行研究での比較考察を踏まえながら、「孤独者」、「傷逝」の考察の起点に「長明灯」を加える。これにより作品に埋め込まれた魯迅の思想形成-自己規定と愛情、婚姻関係に対する選択と決意-の跡を読み解き、その思想的特徴と意義を再考しようとするものである。それは、五四新文化運動期の自己の思想を乗り越え、新たな思想形成に向かう魯迅自身の五四脱却、ポスト五四の思想形成の軌跡であり、26年~27年の南下に向かう思想的、内的準備を意味するものと解釈できる。以上の考察結果により「長明灯」、「孤独者」、「傷逝」の作品解釈に、先行研究とは異なる新たな視点を多少とも加えることができると考える。

identifier:http://repository.seikei.ac.jp/dspace/handle/10928/405

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