再考:「氷河」という訳語の由来

書誌事項

タイトル別名
  • Origin of the term “<i>Hyoga</i>” (glaciers): Reconsidered

抄録

<p>「氷河」の語は,自然地理学の教科書 “Physiography” の “glacier” から翻訳され1884年に出現した.訳者は,スコットランドに留学し,氷河の流動を理解していたと思われる西邨 貞である.「氷河」は氷河流動の認識から生まれた.「氷河」が出現する以前に,谷氷河の様相は流動も含めて1877年にすでに紹介されていたが,glacierは「氷帯」と訳された.「氷帯」の翻訳者は,氷河の実態を知らなかったことと,氷河の語は古くから冬の凍結した河を意味したため,「氷河」を使わなかったと思われる.「氷河」が現れたあとも,「氷田」が明治時代中頃(1884-1895)にはしばしば使われた.「氷河」が一般的になったのは,1900年ごろ以後である.</p>

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 84 (2), 167-173, 2022-03-15

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (9)*注記

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